新著『業界分析 組織の経済学ー新制度派経済学の応用』の魅力
今回は、新著『業界分析 組織の経済学ー新制度派経済学の応用』中央経済社の魅力について、説明してみたい。本著を担当してくれた市田さんから、中央経済社の社長から拙編著の内容に対して、ちょっとしたお褒めをお言葉を頂いたという話をお聞きしたので、書いてみたいと思います。
(1)新制度派経済学を構成している取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論については、最近、徐々に理解されはじめているが、その理論を用いて実際にどのようにして現実を分析するのかについては、まだよく知られていないように思う。この点で、本書は様々な業界に新制度派経済理論が応用されているので、非常に参考になるのではないかと思う。
(2)特に、最近、取引コスト理論がブームとなっているマーケティング分野や国際経済学分野の大学院生にも読んでもらいたい。もちろん、数式は一切使用していないので、学部学生でも簡単に読めると思うし、卒論の参考にもなると思う。
(3)また、本書が扱っている業界やトピックスは意外におもしろい。特に、最近はやりのコンサルティンファーム業界、ヘッジファンド、ベンチャーキャピタル業界、ナレッジマネジメント、情報システム導入戦略など、よくわかっていない学生が意外に多い。そこで、私の学部ゼミでは、就職活動前にこの本を輪読し、パワーポイントで説明させて各業界を理解してもらっている。さらに、各章を担当してくれた社会人に直接ゼミにきてもらって、さまざまな話をしてもらっているので、ゼミは大変盛り上がっている。
(3)さらに、この本は「組織の経済学」というタイトルであるが、内容的には「戦略の経済学」的な側面もあり、この点も学べると思う。各業界における企業が今後どのような戦略を展開しないと、生き残れないか。こういった点も学べると思う。
(4)最後に、この本の各章の担当者が社会人のために、それゆえ秘密保持のため、具体的な企業の事例を展開することができなかったのが残念である。しかし、それが逆にこの本の陳腐化防止になっていると思う。
以上のような特徴をもっているので、もし興味があれば、ぜひ手にとって読んでいただきたいと思う。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4502657301/ref=pd_bxgy_b_text_b/250-8250760-0785039
http://bookweb.kinokuniya.co.jp/guest/cgi-bin/wshosea.cgi?W-NIPS=9981118397
http://www.junkudo.co.jp/view2.jsp?VIEW=author&ARGS=%8B%65%E0%56%81%40%8C%A4%8F%40
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