なんとなくシカゴ学派
第二次大戦前、ナチスの影が広がるウィーンで、自由主義を標榜する経済学者たちがひっそりと地下室で研究会を開いていた。その研究会には、ゲーム論で知られる若き日のフォン・ノイマンも参加していたはずだ。
ナチスの圧力が及んでくると、やがて彼らは米国へと移動していった。その学派の名前は、オーストリー学派である。オーストリー学派の一部はニューヨーク大学(NYU)へ、一部はシカゴ大学へと生き延びた。前者の代表が超自由主義者フォン・ミーゼスであり、後者の代表が天才ハイエクである。

ニューヨーク大学には、その思想を受け継いでいる研究者、カーズナーがいる。また、シカゴ大学では、その思想はさらに進化し、フリードマン以後、シカゴ学派として大きく発展している。
これらのうち、シカゴ学派の特徴は、ご存知の通り、自由主義、反政府介入主義、レッセフェールである。しかし、私が魅力を感じるシカゴ学派の特徴とは以下の点にある。
1. 数学を多用しないで、英知で勝負すること。
2. 日常の事例から真理を引き出そうとすること。
3. 用語・定義の整理がすばらしいこと。
4. 体系的というよりもゲリラ的な論文が多いこと。
この魅力を知るには、M.フリードマン、R.コース、G.スティグラー、H.デムゼッツ、マッハループたちの論文を読むしかない。彼らのようなすばらしい論文を人生に1本でもかければと・・・・、ときどき、なんとなく、思うことがある。
ただし、いまの私には、無理だ。モーツアルトのように、お金儲けに忙しい。仕事が追いかけてくる。走っても。走っても。
« 東欧での交渉術 | トップページ | 経営者と経営学者の違い »
「3)学者様の不思議な世界」カテゴリの記事
- 日本の経営学者の巨匠のひとり 庭本先生 逝く(2020.12.31)
- 偉大な学者の論文の効用(2016.06.04)
- どうしようもない日本企業(2015.07.03)
- ブラックサンダー、理論負荷性、そして帰納法(2015.06.10)
コメント