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2006年2月23日 (木)

経営者と経営学者の違い

 昔、社会学者から、「経営学なんって、有名な経営者がやればいいのではないか」といわれたことがある。当時、私も若く、むっとして「では、社会学は社会人がやればいいのか」と言い返したことがある。

 しかし、この問いには深い何かがある。

 「結局、経営者は自慢話を年に24回も講義できなのだ」という経営学者もいる。「経営者は実践することが専門であって、説明することが専門ではない」という経営学者もいる。しかし、私が考える経営者と経営学者の違いはこうだ。これはコンサルタントと経営学者の違いでもある。

 経営者は成功話や失敗話を生々しく語ることができるだろう。その体験をいかにリアルに迫力をもって語るか、それに力を注ぐかもしれない。

しかし、経営学者はそのようなことにそれほど関心はないのだ。問題は、そのような成功話がなぜ正しいのか。その成功談が正しいとすれば、どういう意味でか。それは経験的か。あるいは統計的に正しいのか。あるいは理論的に正しいのか。あるいは数学的に正しいのか。論理的に正しいのか。つまり、言明の正しさや正当性をどのようにして証明するのか、その方法論にこだわるのだ。

 おそらく、この点が経営者やコンサルタントとは全く異なるのだ。だから、ある社会人学生が「あの会社は、こうして、ああして、こうしたので、利益はあがった」などと発表すると、われわれ経営学者は、その言明の内容よりも、「その言明がなぜ正しいのか。統計的にか、経験的にか。理論的にか、論理的にか。」と聞きたくなる。そして、その言明の正当性を保証するものが何もなければ、「それは根拠のない単なる偶然、真面目に聞いて損した」などと皮肉を言いたくなるのだ。

 学者というのは、何ていやな集団だ。全く非生産的な集団だ。みなさん、そう思うかもしれない。残念。

 

 

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3)学者様の不思議な世界」カテゴリの記事

コメント

どうも。経営学を専攻している大学院生こと、ささきでございます。実は私も一体経営学とは何をやる学問なのか?正直分からなくなりつつあります。とりあえず、私が暫定的に思うところを書けば、まず、経営のノウハウ等を研究するのであれば、それは学者が出る幕はない。そういったことをやるのは、実務家の集団やコンサルに任せておけばよい。では、経営学者は何をやればよいのか?一言で言えば経営現象の究明だと考えられる。経営現象の定義についてもさまざまあると思うが、ひとまずペンディングしておいて、とにかく経営現象について「解釈」を与えるのではなく、因果法則を見つけることなんじゃあないのかな?と最近は思うようになりました。
 そして、経営学者の研究成果たる理論ないし仮説は実践家にとって使えるか使えないかといった視点二巻していえば経営学者にとって不要なのかな?とも考えるようになりました。何よりも、科学哲学上における道具主義という考え方に依拠するつもりもないし、使うか使わないかは実務家自身が決めればいいことであると私は考える。  ただし、最低限でも使える理論であるためには現実を精確に説明したものでなければならないのかぁということを思いつつ、さて私の研究はどうなることやらと頭を抱えております!

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