菊澤 研宗: 成功する日本企業には「共通の本質」がある 「ダイナミック・ケイパビリティ」の経営学
最新作です。アマゾンで予約可能になりました。
菊澤編著: ダイナミック・ケイパビリティの戦略経営論
最新の戦略経営論です。戦略経営論に関心のある人には、必読です。
菊澤研宗: 改革の不条理 日本の組織ではなぜ改悪がはびこるのか (朝日文庫)
拙著『組織の不条理』の姉妹編です。現代の不条理現象を分析しています。
菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版
改訂版です。ほとんど同じですが、少しクールな感じです。
菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
2016年2月で5刷となりました。
菊澤研宗: ビジネススクールでは教えてくれないドラッカー(祥伝社新書)
ドラッカー、カント、小林秀雄です。
野中 郁次郎: 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇
私の論文も掲載されていますので、ぜひ読んでみてください。
David J. Teece: Dynamic Capabilities and Strategic Management
最近、注目されているダイナミック・ケイパビリティの本
経営哲学学会: 経営哲学の授業
経営哲学の本がやっとできました。面白いですので、ぜひ買ってください。 (★★★★★)
菊澤 研宗: 「命令違反」が組織を伸ばす (光文社新書)
東電の吉田所長の行動の意味を理解するために、読んでもらいたい。
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
キュービックグランドストラテジーについて知りたい人はこれを読んでください。
菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理
私の新著です。読みやすくなっています。関心のある人はぜひ一読お願いします。
NHKスペシャル 日本人はなぜ戦争へと向かったのか 上
NHKスペシャルの本
TVでは見れない私のインタヴューが掲載されています。
菊澤 研宗: 企業の不条理
新著です。
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
新書『戦略の不条理』をさらに詳しく知りたい人
ガバナンスの比較セクター分析―ゲーム理論・契約理論を用いた学際的アプローチ (比較経済研究所研究シリーズ)
この本の第4章を書いています。 (★★★★★)
週刊ダイヤモンド別冊 歴学(レキガク) 2010年 1/11号 [雑誌]
コラムに、ヴェーバーのプロ倫について書きました。
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書 426)
祝!はやくも増刷
孫子、山本七平、クラウゼヴィッツ、リデルハート、ロンメル、ハンニバル、ナポレオンについて解説し、新しい戦略の哲学、キュービック・グランド・ストラテシー(立体的大戦略)を提唱する。 (★★★★★)
菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)
もうすぐ発売されます。「文庫化のためのあとがき」をぜひ読んでください。 (★★★★★)
神田 昌典: 10年後あなたの本棚に残るビジネス書100
拙著『組織の不条理』も100に選ばれています。 (★★★★★)
菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理
祝2刷です。
菊澤研宗: 新著『戦略学』ダイヤモンド社
やっと発売されました。私の新しい本です。この本では、世界を物理的世界、心理的世界、知性的世界に分けて考え、従来の戦略論が物理的世界を対象とするものにすぎないこと、また心理的世界を対象としているのが行動行動経済学、さらに知性的世界を対象としているのが取引コスト理論だとし、何よりも企業が生き残るにはこれら三つの世界にアプローチするような立体的大戦略(キュービック・グランド・ストラテジー)が必要だということを説明しています。というのも、ひとつの世界だけを対象にした戦略だけでは、別の二つの世界で変化が起こったとき、淘汰されてしまうからです。
(★★★★★)
菊澤 研宗: なぜ上司とは、かくも理不尽なものなのか (扶桑社新書 16)
新書『命令違反が組織を伸ばす』の現代企業版です。
こちらの方がやさしく書いてあるので、関心のある人はぜひ買ってよんで見てください。その後で、『命令違反』を読むと、分かりやすいかもしれません。 (★★★★★)
菊澤 研宗: 「命令違反」が組織を伸ばす (光文社新書 312)
組織内の人間は、ある程度、失敗することが予測できたとても、そこに行かざるをえないことがある。このような失敗を「不条理な失敗」と呼びたい。このような不条理な失敗を回避する最終解決案は「命令違反」である。命令違反は常に悪しきものではなく、良い命令違反もある。そのような命令違反をも扱う新しいマネージメントが必要であることを、太平洋戦争の日本軍を事例にして説明する。 (★★★★★)
菊沢 研宗: 組織の経済学入門―新制度派経済学アプローチ
祝!5刷です。
最新の私の単著です。
取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論をやさしく解説した本、その他、進化経済学、行動経済学、法と経済学、ゲーム理論にも触れていますので、お買得です。 (★★★★★)
菊澤研宗編著: 組織の経済学―業界分析
現在3刷です。
これは社会人学生とのコラボレイトでできた私菊澤のはじめての編著の本です。
新制度派経済学にもとづいて、メディア産業、化学産業、酒類産業、コンサル業界、ベンチャー・キャピタル、ヘッジファンド・・・・・・・・・・を分析しています。
(★★★★★)
デビッド ヴァイス: Google誕生 —ガレージで生まれたサーチ・モンスター
グーグルには関心をもっています。
Chris Anderson: The Long Tail: Why the Future of Business is Selling Less of More
ローングテールの本です。 (★★★★★)
菅谷 義博: 80対20の法則を覆す ロングテールの法則
ロングテールの法則は話題になっていますが、
私はこの本を未読。
ロングテール戦略行動は心理会計的に説明できると思います。ただし、その行動が成功的かどうかはわかりません。
不条理なコンピュータ研究会: IT失敗学の研究―30のプロジェクト破綻例に学ぶ
私の論稿も載っているので、関心のある方はぜひ読んでみてください。不条理のIT版です。 (★★★★★)
小林 秀雄: モオツァルト・無常という事
小林秀雄のモーツアルトの批評は絶品 (★★★★★)
スティーヴン・レヴィット: ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検する
シカゴ大学の先生らしい本のようです。
Rose Friedman: 選択の自由―自立社会への挑戦
シカゴ学派の総帥、フリードマンの古典。英知にあふれている。 (★★★★★)
リチャード・H. セイラー: 市場と感情の経済学―「勝者の呪い」はなぜ起こるのか
私の好きなR.セーラーの行動ファイナンス、経済心理学の本です。 (★★★★★)
真壁 昭夫: 最強のファイナンス理論―心理学が解くマーケットの謎
行動ファイナスの入門書です。 (★★★★)
ヨアヒム・ゴールドベルグ: 行動ファイナンス―市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論
行動ファイナンスの入門書。非常にやさしく、わかりやすく説明してあります。 (★★★★★)
多田 洋介: 行動経済学入門
経済心理学の入門書。 (★★★★★)
小林 秀之: 「法と経済学」入門
法と経済学分野の定番、非常にわかりやすく説明してあります。 (★★★★★)
宍戸 善一: 法と経済学―企業関連法のミクロ経済学的考察
法という制度を経済学的に分析する分野のやさしい教科書。 (★★★★)
キム・クラーク: デザイン・ルール―モジュール化パワー
モジュール組織論を最初に言い出した本 (★★★★★)
国領 二郎: オープン・アーキテクチャ戦略―ネットワーク時代の協働モデル
気になる本です。 (★★★★★)
青木 昌彦: モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質
この本は、最新の組織デザイン論を扱っている面白い本です。 (★★★★★)
ジェイ・B・バーニー: 企業戦略論【上】基本編 競争優位の構築と持続
バーニーの戦略論も大幅に取引コスト理論やエージェンシー理論を取り入れています。ただ少し、中身がだらだらしている感じです。
デビッド J.コリス=モンゴメリー: 資源ベースの経営戦略論
この本は、戦略の経済学に近く、新制度派の諸理論を取り入れています。モンゴメリーの夫が、リソース・ベイスト・ヴューの開発者の一人、ウエルナー・ワーナフェルトだとは知りませんでした。
オリバー・E. ウィリアムソン: 現代組織論とバーナード
これは、ウィリアムソン編著の論文集です。ここには、オリバー・ハートの論文が入っています。ただし、訳にかなり問題あり。
オリヴァー・イートン・ウィリアムソン: 市場と企業組織
ウイリアムソンの初期の取引コスト理論の翻訳です。 (★★★★★)
Sytse Douma: Economic Approaches to Organizations
これ3版ですが、4版がでているようです。この本は、組織の経済学のやさしい教科書です。ただし、所有権理論が欠如しています。 (★★★★★)
エドワード・P. ラジアー: 人事と組織の経済学
人事に関する経済分析の本です。 (★★★★★)
Eirik G. Furubotn: Institutions And Economic Theory: The Contribution Of The New Institutional Economics (Economics, Cognition, and Society)
この本は新制度派経済学を広く網羅していると思います。筆者はドイツ系の学者です。フルボトンは、所有権理論で有名な人です。 (★★★★★)
Michael C. Jensen: A Theory of the Firm: Governance, Residual Claims, and Organizational Forms
この本は、マイケル・ジェンセンの実証的エージェンシー理論の論文集です。エージェンシー理論によるコーポレート・ガバナンス分析に関心ある人は必読です。
Harold Demsetz: The Organization of Economic Activity
これは、デムゼッツの所有権理論の論文集です。すばらしい論文集です。 (★★★★★)
柳川 範之: 契約と組織の経済学
この本は、所有権理論やエージェンシー理論を中心とする最新の研究を非常にやさしく解説した本であり、初心者でも読みやすくなっています。ただし、取引コスト理論の説明はありません。 (★★★★)
ダグラスC. ノース: 制度・制度変化・経済成果
この本は、所有権理論を歴史に応用し、ノーベル賞を受賞したダグラス・ノースの本で
す。ここでは、制度変化について説明していますが、内容はかなり難解でいくぶんもやもやした感じです。しかし、多くのインプリケーションがありますので、ぜひ読んでみる価値があると思います。
(★★★★★)
デイビッド ベサンコ: 戦略の経済学
この本は、取引コスト理論、エージェンシー理論、所有権理論を数学をほとんど使わないで比較的わかりやすく説明し、応用しています。数学を使っていないために、逆にだらだらした感じもしますが、上記の「組織の経済学」と併用するとよいと思います。とくに、この本では、企業の境界問題が充実していると思います。
(★★★★★)
ポール・ミルグロム: 組織の経済学
組織の経済学で最も有名な本です。内容は非常に充実しています。しかし、私の個人的な感想からすると、かなり読みづらい本でもあります。とくに、ミクロ経済学にふれたことのない人には、つらい本かもしれません。みんなで一緒に読むことを勧めます。
(★★★★★)
Jack J. Vromen: Economic Evolution: An Enquiry into the Foundations of New Institutional Economics (Economics As Social Theory)
このブローメンの本は、進化経済学をうまくまとめています。現在、進化経済学の研究は、アルチャンのダーウイン主義、ネルソンーウインターのラマルク主義、進化ゲーム論の三つの方向がありますが、これらをうまくまとめています。しかも、ヨーロッパの研究者らしく私の好きなポパーの進化論的認識論についても言及しています。
(★★★★★)
Richard R. Nelson: Evolutionary Theory of Economic Change (Belknap Press)
この本は進化経済学の原点となる本の一つです。非常に有名な本ですが、いまだ翻日本語に訳されていません。私が留学していたニューヨーク大学スターン経営大学のドクターコースの学生が私に奨めていた本です。この進化論の分野は、非常におもしろいので、今後、もう少し研究する必要があると思っています。
Oliver Hart: Firms, Contracts, and Financial Structures (Clarendon Lectures in Economics)
この本は、オリバー・ハートの有名な所有権理論の本であり、契約理論の原点といわれている本です。やや数学的です。契約理論に関心のある人は、この本を避けて通ることができないでしょう。ハートの顔を写真で見ましたが、とてもスマートな上品な感じがしました。彼によると、この分野は数学的に定式化するのが難しい分野で、かなり苦労しているとコメントしていました。このハートの著書に関して、上記のデムゼッツによる批判的書評もおもしろいので、ぜひ併読を勧めます。
(★★★★★)
John W. Pratt: Principals and Agents
この本の中にアローのエージェンシー理論をまとめた有名な論文"The Economics of Agency"が入っています。この論文で、隠れた知識問題としてのアドバースセレクション現象と隠れた行動問題としてのモラルハザード現象が非常にうまく区別され説明されています。
Michael C. Jensen: A Theory of the Firm: Governance, Residual Claims, and Organizational Forms
この本は、実証的エージェンシー理論に関するジェンセンの論文集です。ジェンセンのエージェンシー理論の論文は、よく知られていますが、日本ではそれほど読まれていないのではないでしょうか。この本もじっくりと読んで見ると、エージェンシー理論によって会計、ファイナンス、組織が幅広く分析できることがわかってきます。
(★★★★★)
Oliver E. Williamson: The Mechanisms of Governance
この本は、取引コスト理論をコーポレート・ガバナンスの問題やコーポレート・ファイナンスに応用した論文集です。この本は、非常にインプリケーションが多い本だと思います。 (★★★★★)
ロナルド・H. コース: 企業・市場・法
この本は、取引コスト理論や所有権理論に関するコースの論文集。1937年に、つまり第二次大戦前に取引コスト理論の論文が発表されていたことに驚かされます。また、「法と経済学」という新分野の先駆けとなった論文「社会的費用の問題」の長さにも驚かされます。読む度に、新しい発見のある素晴らしい本です。数学では表せないコースの英知であふれています。とにかく、時間をかけてじっくり読んでみたい本です。
(★★★★★)
岩井 克人: 会社はこれからどうなるのか
この本は非常にいい本です。一度は読むべきです。 (★★★★★)
小佐野 広: コーポレートガバナンスの経済学―金融契約理論からみた企業論
組織の経済学的な議論がまとまっています。 (★★★★)
菊澤 研宗: 比較コーポレート・ガバナンス論―組織の経済学アプローチ
私の本です。 (★★★★★)
Jonathan P. Charkham: Keeping Good Company: Corporate Governance Ten Years On
チャーカムの有名なガバナンスの本
各国のガバナンス・システムが比較されている。 (★★★★★)
キュービック・グランド・ストラテジーの解説
拙著『戦略学』で取り上げている心理会計(メンタルアカウンティング)の提唱者リチャード・セーラーが、2017年度のノーベル経済学賞を受賞。
昨年は、拙著『組織の経済学入門』で取り上げたオリバー・ハートが受賞したので、拙著で説明している理論は、ほとんどノーベル賞受賞となった。以下の本でも、リチャード・セーラー心理会計理論について説明しています。
ノーベル賞をもらっていないのは、進化経済学とダイナミック・ケイパビリティ論だけとなりました。
菊澤ゼミ第6期。水野君がゼミ長で、西村さんが副ゼミ長に決定したとの連絡を受けた。二人とも適任だと思う。これで、やっと菊澤ゼミの体制も整ったので、今後は、来年の7期をめぐって、みんながんばってくれるだろう。
さて、米国から帰国し、恐ろしく多忙で、ブログも書けないほどだった。しかし、菊澤ゼミ第6期には、いろいろと刺激を受けている。
これまで、ゼミで何度か拙著『戦略学』を読んだことはあったが、実は学生の議論から大きな刺激は受けなかった。
しかし、6期はかなり詳細に読んでいるチームもあり、またいろいろと良い質問もあり、今日はいくつか「気づかされる」ことがあった。
キュービック・グランド・ストラテジーに関する研究を中断していたが、再開しようかという気になった。
「TOPPOINT」という月刊誌がある。この雑誌は、毎月、良書を選んで、要約をしている雑誌だ。2009年下期に、私の『戦略の不条理』を選んでいただいた。そして、人気投票も5位だった。
そこで、この『戦略の不条理』についての私が直に話をするCD版が制作された。いまは、ファイルによるダウンロード版もある。関心のある人は、試聴できるので、買っていただけるとありがたい。
いま、試聴してみると、懐かしい。
●キュービック・グランド・ストラテジー:CD版
http://www.toppoint.jp/author/37
●内容要約
http://www.toppoint.jp/library/selection?page=2&selection_secondary_id=18&sort=count_pdf_desc
かつて、ブログでyou tube で音楽が流されると、楽曲が共有され、その所有権が不明確となる。そうなると、当然、CDは売れなくる。そして、作曲家もはじめからいいものを作らなくなると論じたことがある。
しかし、このyou tube を戦略的に利用する方法が出現した。それがAKB48の戦略だ。
私は、多元的世界観を前提とする多元的アプローチとしてキュービック・グランド・ストラテジーを提案している。それは、世界を以下のように三つに区別する。
(1)物理的世界 われわれの五感でその存在を認識できる世界、体、物、物質、におい、色など
(2)心理的世界 心の世界
(3)知性的世界 われわれ人間の知性によってその存在が認識できる世界、たとえば本の内容、理論の内容、権利、制度、法律、など。インターネットの世界なども。
これら三つの世界を前提にして、三つの世界に対して立体的にアプローチすることが勝利のカギになるという考えである。
この戦略論からすると、
(3)AKB48の戦略は、知性的世界に対してyou tubeを利用してただで映像や歌を流す。そして、多くのファンを作る。
(2)その結果として、心理的に実物に会いたい、実物と話をしたい、握手したいという心理になる。
(1)最後に、CDの付録として、握手権やポスターなど付録をつける。このとき、付録は物理的世界に関係するものに限る。
つまり、最初から、楽曲を売ろうとは思っていないのだ。それは、ガムやお菓子はどうでもよく、おまけがほしくて購入する駄菓子と同じロジックだ。主役が主役ではなく、脇役が実は主役である商品なのだ。
顧客も、CDの入った曲を購入しているのではないのだ。その付録としてついている、実物との握手する権利、話せる権利といったどちらかといえば物理的世界の商品を購入しているのである。
非常に面白い戦略だ。これも、キュービック・グランド・ストラテジー(立体的大戦略)の一つなのだろうと思う。
キュービック・グランド・ストラテジーを知りたい人は以下を参照。
菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
キュービックグランドストラテジーについて知りたい人はこれを読んでください。
拙著『戦略学』ダイヤモンド社で、私は現存する三つの世界に対して立体的にアプローチする戦略のことをキュービック・グランド・ストラテジーと呼んだ。そして、このような立体的大戦略によって企業は21世紀を生き残れることを説明した。
この考えは、思った以上に、地道に広がっているように思える。というのも、このキュービック・グランド・ストラテジーのフレームワークを利用した論文が登場しているからである。
●明治大学の折谷先生の論文
https://mrepo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/10992/1/shogakuronso_92_3_31.pdf
●千葉経済大学の粟沢先生の論文
http://www.tku.ac.jp/kiyou/contents/economics/269/125Awasawa_Takashi.pdf
●慶大SFCの伊賀先生
http://interaction.sblo.jp/article/34507978.html
●菊澤の論文
http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=27707
関心のある人はぜひとも読んでほしい。
私は、拙著『戦略学』で三つの次元への戦略的アプローチのことをキュービック・グランド・ストラテジーと呼んだ。
私は、K・R・ポパーに従い、世界は三つに区別する。
(1)物理的世界・・・物質の世界
人間の五感によってその存在が理解できる世界
物的資産の増減、会計上のコスト
(2)心理的世界・・・心の世界
見えない心理的なコスト・ベネフィット
(3)知性的世界・・・技術や理論内容の世界
人間の知性によってその存在を把握できる世界
見えないコスト・ベネフィット:たとえば取引コスト
三つの世界でのコストを増減したり、三つの世界のベネフィットを増減したりして、人間の行動を操作するのが、キュービック・グランド・ストラテジーだ。
ここで、(3)の知性的な世界の戦略とはどういうことか?という質問が多い。その具体的な事例が出てきたの紹介する。
本当かどうかわからないが、弁護士連合会が東電の賠償方法が上記の(3)のアプローチとなっているという批判なのだ。
つまり、東電の賠償請求書類があまりにも複雑でかつ膨大なために、被災者たちにとって見えない交渉・取引コストがあまりにも高く、書類を読まず、書類に記入せず、書類を提出しない方が合理的となるという形で、泣き寝入りさせる戦略だと批判しているのだ。
もしそうならば、これは知性的世界を利用した戦略となる。保険会社がよく使うアプローチだ。
●http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yucasee-20110917-8941/1.htm
たぶんこれは意図せざる結果だと思うが、もし意図的だとすると、それは知性的世界を利用したもっとも洗練されたアプローチであるといえる。そして、それを見抜いた弁護士連合会はすごい。
菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)
増刷になりました。
大量の前期試験の採点もほぼ完了した。大変な作業であった。
これから、やっと自分の研究ができる。嬉しい。しかし、少し体調が悪い。
採点の合間に、日本陸軍、今村均の研究をしていたのだが、改めて今村均はすごいと思った。
司馬遼太郎が『坂の上の雲』で、乃木の軍人としての能力を批判しているが、今村の性格からして珍しく、これに反論している。
今村の反論は、非常に興味深い。
彼は、多元論的世界観に立ち、軍人としての才能はただ物理的に勝利することだけではなく、人間としての品性や魅力など心理的世界や知性的世界に関わるものが重要なのだという。それらの魅力も含めて、軍人は評価されるべきだというのだ。
この点も含めていえば、日露戦争の二百三高地の乃木の戦略・戦術的な采配だけを批判することは表面的だという。
あの戦いは、乃木という人物がそこに存在していたからこそ勝ち抜けたのだという。つまり、ミドルもロアーも兵士も乃木大将がそこにいたので、苦しい戦いを勝ち抜けたのだという点が重要なのだということだ。そのことを軍中央もよくわかっていて、軍司令官を交代させることはできなかったのだいうのだ。
われわれ人間はトップが良い戦略を立てればそれに従って行動し、良い結果をだすわけではないのだ。人間はロボットではないのだ。
はやりトップに魅力がないとだめなのだ。魅力がなければ、みな打算的に動く、管理システムがしっかりしていれば、ぜいぜい1+1=2のように機械のように動く。管理システムが駄目だと、みな手抜きする(モラルハザードが起こる)ので、1+1<2になったりする。
しかし、リーダーに魅力があれば、みな負担するコストを無視して行動してくれる。そうすると、1+1<3になったりするのだ。
秋になれば、NHKで『坂の上の雲』が放送されるのだが、楽しみだ。
こういった点を、ぜひいまの総理は理解してほしい。人間的な魅力のない人がいくら立派な理念や戦術や戦略を語ってもだれもついてこないのだ。
最近も忙しくて、なかなかブログが書けなかったが、来週月曜日5月30日から朝日カルチャーで『戦略学』の講義を3回にわたって行います。1回でも可能だと思いますので、関心のある人は電話で聞いてみたください。
今回は、行動経済学を中心に、心理的な間接アプローチについて説明する予定です。
●新宿朝日カルチャー
http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=113874&userflg=0
●やはりテレビでおなじみの人たちは満員の朝日カルチャー
http://www.asahiculture.com/LES/list.asp?JCODE=0001&CACODE=00&PJ=1&NECODE=201104&PCOCODE=00#00
原発事故のことばかり書いてきたが、震災復興政策について、ひとことコメントしたい。
宣伝のように、本当に、申し訳ないのだが、ちょうど拙著『戦略学』ダイヤモンド社が増刷されることになったので、思い出した。
今後、震災復興をめぐって経済政策(もちろん別の政策もある)が展開されるだろう。私は、経営学者として、戦略論的なアプローチをお願いしたい。それは、多元論的なアプローチだ。
それは、拙著『戦略学』や『戦略の不条理』を読んでもらえると、わかるのだが、次の三つの世界観にもとづく多元的な立体戦略だ。ピカソのキュビズムをイメージにして、キュービック・グランド・ストラテジー(CGS)と名付けた。
(1)物理的世界:肉体、物質の世界。五感で存在を感じられる世界。
(2)心理的世界:感情、心情、本を読んでいる状態。考えている状態。暗黙知の世界
(3)知性的世界(理論内容の世界):本の内容、理論の内容、知識、情報、理念、価値、人間の知性によってその存在が理解できる世界。
これから、震災にあわれた方々を救済するには、これら三つの世界のアプローチが必要だ。
(1)物資、食事、仮設住宅、資金などなどが必要だ。
(2)心のケア、信頼感、家族愛など、友達関係、後で出てくる問題だ。
(3)希望に満ちた理念、共通して理解できる先行きの展望、共有できる考え方などなど、いまは思いつかないが・・・・
われわれ人間を取り巻く世界はこれら三つの世界であり、これらは相互作用しているのだ。相互作用して相互に成長しているのだ。
この三つのアプローチのどれ一つ欠けても戦略は合理的に失敗する。政府は(1)物質的世界だけをアプローチしてもだめなのだ。(2)と(3)の世界もアプローチしないと、(1)の世界で合理的に政策を展開しても、復興はしないのだ。
むしろ、三つの世界には階層があり、特に知性的世界がもっとも高次なのだ。この知性的世界へのアプローチは非常に重要なものとなる。それが、実は心理的世界や物理的世界での復興を生み出すのだ。物理的世界でのアプロ-チだけでは、心理的世界と知性的世界での変化は期待できないのだ。
復興戦略の不条理に陥らないようにお願いしたい。
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