慶応大学菊澤ゼミナールHP

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11)戦略学(CGS)

キュービック・グランド・ストラテジーの解説

2017年10月 9日 (月)

心理会計の提唱者、リチャード・セーラーがノーベル賞受賞

拙著『戦略学』で取り上げている心理会計(メンタルアカウンティング)の提唱者リチャード・セーラーが、2017年度のノーベル経済学賞を受賞。

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

昨年は、拙著『組織の経済学入門』で取り上げたオリバー・ハートが受賞したので、拙著で説明している理論は、ほとんどノーベル賞受賞となった。以下の本でも、リチャード・セーラー心理会計理論について説明しています。

菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版

菊澤 研宗: 組織の経済学入門 改訂版

ノーベル賞をもらっていないのは、進化経済学とダイナミック・ケイパビリティ論だけとなりました。

2014年5月 3日 (土)

本日は、菊澤ゼミ6期からいろいろと刺激を受けた。

 

 菊澤ゼミ第6期。水野君がゼミ長で、西村さんが副ゼミ長に決定したとの連絡を受けた。二人とも適任だと思う。これで、やっと菊澤ゼミの体制も整ったので、今後は、来年の7期をめぐって、みんながんばってくれるだろう。

 さて、米国から帰国し、恐ろしく多忙で、ブログも書けないほどだった。しかし、菊澤ゼミ第6期には、いろいろと刺激を受けている。

 これまで、ゼミで何度か拙著『戦略学』を読んだことはあったが、実は学生の議論から大きな刺激は受けなかった。

 

 しかし、6期はかなり詳細に読んでいるチームもあり、またいろいろと良い質問もあり、今日はいくつか「気づかされる」ことがあった。

 

 キュービック・グランド・ストラテジーに関する研究を中断していたが、再開しようかという気になった。

2012年10月22日 (月)

キュービック・グランド・ストラテジー『戦略の不条理』光文社新書のCD版発売

「TOPPOINT」という月刊誌がある。この雑誌は、毎月、良書を選んで、要約をしている雑誌だ。2009年下期に、私の『戦略の不条理』を選んでいただいた。そして、人気投票も5位だった。

そこで、この『戦略の不条理』についての私が直に話をするCD版が制作された。いまは、ファイルによるダウンロード版もある。関心のある人は、試聴できるので、買っていただけるとありがたい。

いま、試聴してみると、懐かしい。

●キュービック・グランド・ストラテジー:CD版 

http://www.toppoint.jp/author/37

●内容要約

http://www.toppoint.jp/library/selection?page=2&selection_secondary_id=18&sort=count_pdf_desc

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

2012年1月 8日 (日)

AKB48とCGS戦略

 かつて、ブログでyou tube で音楽が流されると、楽曲が共有され、その所有権が不明確となる。そうなると、当然、CDは売れなくる。そして、作曲家もはじめからいいものを作らなくなると論じたことがある。

 しかし、このyou tube を戦略的に利用する方法が出現した。それがAKB48の戦略だ。

私は、多元的世界観を前提とする多元的アプローチとしてキュービック・グランド・ストラテジーを提案している。それは、世界を以下のように三つに区別する。

(1)物理的世界 われわれの五感でその存在を認識できる世界、体、物、物質、におい、色など

(2)心理的世界 心の世界

(3)知性的世界 われわれ人間の知性によってその存在が認識できる世界、たとえば本の内容、理論の内容、権利、制度、法律、など。インターネットの世界なども。

これら三つの世界を前提にして、三つの世界に対して立体的にアプローチすることが勝利のカギになるという考えである。

この戦略論からすると、

(3)AKB48の戦略は、知性的世界に対してyou tubeを利用してただで映像や歌を流す。そして、多くのファンを作る。

(2)その結果として、心理的に実物に会いたい、実物と話をしたい、握手したいという心理になる。

(1)最後に、CDの付録として、握手権やポスターなど付録をつける。このとき、付録は物理的世界に関係するものに限る。

つまり、最初から、楽曲を売ろうとは思っていないのだ。それは、ガムやお菓子はどうでもよく、おまけがほしくて購入する駄菓子と同じロジックだ。主役が主役ではなく、脇役が実は主役である商品なのだ。

顧客も、CDの入った曲を購入しているのではないのだ。その付録としてついている、実物との握手する権利、話せる権利といったどちらかといえば物理的世界の商品を購入しているのである。

非常に面白い戦略だ。これも、キュービック・グランド・ストラテジー(立体的大戦略)の一つなのだろうと思う。

キュービック・グランド・ストラテジーを知りたい人は以下を参照。

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)

菊澤研宗: 戦略の不条理 なぜ合理的な行動は失敗するのか (光文社新書)
キュービックグランドストラテジーについて知りたい人はこれを読んでください。

2011年12月23日 (金)

キュービック・グランド・ストラテジー(『戦略学』)について

拙著『戦略学』ダイヤモンド社で、私は現存する三つの世界に対して立体的にアプローチする戦略のことをキュービック・グランド・ストラテジーと呼んだ。そして、このような立体的大戦略によって企業は21世紀を生き残れることを説明した。

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

この考えは、思った以上に、地道に広がっているように思える。というのも、このキュービック・グランド・ストラテジーのフレームワークを利用した論文が登場しているからである。

●明治大学の折谷先生の論文

https://mrepo.lib.meiji.ac.jp/dspace/bitstream/10291/10992/1/shogakuronso_92_3_31.pdf

●千葉経済大学の粟沢先生の論文

http://www.tku.ac.jp/kiyou/contents/economics/269/125Awasawa_Takashi.pdf

●慶大SFCの伊賀先生

http://interaction.sblo.jp/article/34507978.html

●菊澤の論文

http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=27707

関心のある人はぜひとも読んでほしい。

2011年9月17日 (土)

知性的世界へのアプローチの事例

 私は、拙著『戦略学』で三つの次元への戦略的アプローチのことをキュービック・グランド・ストラテジーと呼んだ。

 私は、K・R・ポパーに従い、世界は三つに区別する。

(1)物理的世界・・・物質の世界

  人間の五感によってその存在が理解できる世界

  物的資産の増減、会計上のコスト

(2)心理的世界・・・心の世界

  見えない心理的なコスト・ベネフィット

(3)知性的世界・・・技術や理論内容の世界

  人間の知性によってその存在を把握できる世界

  見えないコスト・ベネフィット:たとえば取引コスト

三つの世界でのコストを増減したり、三つの世界のベネフィットを増減したりして、人間の行動を操作するのが、キュービック・グランド・ストラテジーだ。

ここで、(3)の知性的な世界の戦略とはどういうことか?という質問が多い。その具体的な事例が出てきたの紹介する。

本当かどうかわからないが、弁護士連合会が東電の賠償方法が上記の(3)のアプローチとなっているという批判なのだ。

つまり、東電の賠償請求書類があまりにも複雑でかつ膨大なために、被災者たちにとって見えない交渉・取引コストがあまりにも高く、書類を読まず、書類に記入せず、書類を提出しない方が合理的となるという形で、泣き寝入りさせる戦略だと批判しているのだ。

もしそうならば、これは知性的世界を利用した戦略となる。保険会社がよく使うアプローチだ。

http://news.nifty.com/cs/economy/economyalldetail/yucasee-20110917-8941/1.htm

たぶんこれは意図せざる結果だと思うが、もし意図的だとすると、それは知性的世界を利用したもっとも洗練されたアプローチであるといえる。そして、それを見抜いた弁護士連合会はすごい。

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

菊澤 研宗: 戦略学―立体的戦略の原理

  • 菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)

    菊澤 研宗: 組織は合理的に失敗する(日経ビジネス人文庫)
    増刷になりました。

  • 菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

    菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

  • 2011年7月31日 (日)

    試験の採点ほぼ完了 聖将軍 今村均のこと

    大量の前期試験の採点もほぼ完了した。大変な作業であった。

    これから、やっと自分の研究ができる。嬉しい。しかし、少し体調が悪い。

    採点の合間に、日本陸軍、今村均の研究をしていたのだが、改めて今村均はすごいと思った。

    司馬遼太郎が『坂の上の雲』で、乃木の軍人としての能力を批判しているが、今村の性格からして珍しく、これに反論している。

    今村の反論は、非常に興味深い。

    彼は、多元論的世界観に立ち、軍人としての才能はただ物理的に勝利することだけではなく、人間としての品性や魅力など心理的世界や知性的世界に関わるものが重要なのだという。それらの魅力も含めて、軍人は評価されるべきだというのだ。

    この点も含めていえば、日露戦争の二百三高地の乃木の戦略・戦術的な采配だけを批判することは表面的だという。

    あの戦いは、乃木という人物がそこに存在していたからこそ勝ち抜けたのだという。つまり、ミドルもロアーも兵士も乃木大将がそこにいたので、苦しい戦いを勝ち抜けたのだという点が重要なのだということだ。そのことを軍中央もよくわかっていて、軍司令官を交代させることはできなかったのだいうのだ。

    われわれ人間はトップが良い戦略を立てればそれに従って行動し、良い結果をだすわけではないのだ。人間はロボットではないのだ。

    はやりトップに魅力がないとだめなのだ。魅力がなければ、みな打算的に動く、管理システムがしっかりしていれば、ぜいぜい1+1=2のように機械のように動く。管理システムが駄目だと、みな手抜きする(モラルハザードが起こる)ので、1+1<2になったりする。

    しかし、リーダーに魅力があれば、みな負担するコストを無視して行動してくれる。そうすると、1+1<3になったりするのだ。

    秋になれば、NHKで『坂の上の雲』が放送されるのだが、楽しみだ。

    こういった点を、ぜひいまの総理は理解してほしい。人間的な魅力のない人がいくら立派な理念や戦術や戦略を語ってもだれもついてこないのだ。

    菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

    菊澤研宗: なぜ「改革」は合理的に失敗するのか 改革の不条理

    2011年5月24日 (火)

    朝日カルチャーセンターでの菊澤の戦略学講義はじまります

     最近も忙しくて、なかなかブログが書けなかったが、来週月曜日5月30日から朝日カルチャーで『戦略学』の講義を3回にわたって行います。1回でも可能だと思いますので、関心のある人は電話で聞いてみたください。

     今回は、行動経済学を中心に、心理的な間接アプローチについて説明する予定です。

    ●新宿朝日カルチャー

    http://www.asahiculture.com/LES/detail.asp?CNO=113874&userflg=0

    ●やはりテレビでおなじみの人たちは満員の朝日カルチャー

    http://www.asahiculture.com/LES/list.asp?JCODE=0001&CACODE=00&PJ=1&NECODE=201104&PCOCODE=00#00

    2011年3月30日 (水)

    震災復興政策は戦略学で展開した多元的立体的アプローチ(CGS)をお願いしたい。

    原発事故のことばかり書いてきたが、震災復興政策について、ひとことコメントしたい。

     宣伝のように、本当に、申し訳ないのだが、ちょうど拙著『戦略学』ダイヤモンド社が増刷されることになったので、思い出した。

    今後、震災復興をめぐって経済政策(もちろん別の政策もある)が展開されるだろう。私は、経営学者として、戦略論的なアプローチをお願いしたい。それは、多元論的なアプローチだ。

    それは、拙著『戦略学』や『戦略の不条理』を読んでもらえると、わかるのだが、次の三つの世界観にもとづく多元的な立体戦略だ。ピカソのキュビズムをイメージにして、キュービック・グランド・ストラテジー(CGS)と名付けた。

    (1)物理的世界:肉体、物質の世界。五感で存在を感じられる世界。

    (2)心理的世界:感情、心情、本を読んでいる状態。考えている状態。暗黙知の世界

    (3)知性的世界(理論内容の世界):本の内容、理論の内容、知識、情報、理念、価値、人間の知性によってその存在が理解できる世界。

    これから、震災にあわれた方々を救済するには、これら三つの世界のアプローチが必要だ。

    (1)物資、食事、仮設住宅、資金などなどが必要だ。

    (2)心のケア、信頼感、家族愛など、友達関係、後で出てくる問題だ。

    (3)希望に満ちた理念、共通して理解できる先行きの展望、共有できる考え方などなど、いまは思いつかないが・・・・

    われわれ人間を取り巻く世界はこれら三つの世界であり、これらは相互作用しているのだ。相互作用して相互に成長しているのだ。

    この三つのアプローチのどれ一つ欠けても戦略は合理的に失敗する。政府は(1)物質的世界だけをアプローチしてもだめなのだ。(2)と(3)の世界もアプローチしないと、(1)の世界で合理的に政策を展開しても、復興はしないのだ。

    むしろ、三つの世界には階層があり、特に知性的世界がもっとも高次なのだ。この知性的世界へのアプローチは非常に重要なものとなる。それが、実は心理的世界や物理的世界での復興を生み出すのだ。物理的世界でのアプロ-チだけでは、心理的世界と知性的世界での変化は期待できないのだ。

    復興戦略の不条理に陥らないようにお願いしたい。

    2010年9月18日 (土)

    所有権理論的にいえば、違法アップロードとCD売上減少は関係する。そして、その後に悲劇がやってくる。

     違法アプロードとCD売上減少は関係するのか、という記事がある。

    http://r25.yahoo.co.jp/fushigi/jikenbo_detail/?id=20100816-00003269-r25&vos=nr25nn0000001

     本質的に同じ問題が、漫画の違法アップロードと漫画の売上問題である。

    http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/spa-20100914-01/1.htm

     知的資産である楽曲や漫画、小説、本の内容、理論、技術がネット上でアップされると、それらの知的資産はだれでも自由に使えることになる。そのような領域を「パブリック・ドメイン(みんなの領域、共有地、公的領域)」という。

     このように、楽曲や漫画や理論や技術がだれでもただで使えることは、ときにプラスの側面もある。とくに、理論や技術が発展することもあるのだ。これをプラスの外部性という。

     しかし、所有権理論的にいえば、マイナスの外部性もある。それは、楽曲や漫画や理論や技術を生み出した人に、楽曲や漫画や理論や技術が生み出すプラス効果が帰属されないのだ。そうすると、次に不幸な現象が起こるのだ。

     つまり、知的資産を創造してもプラス効果が自分に帰属されないのならば、だれもはじめから楽曲や漫画や理論や技術などの知的資産を作ろうとしないのだ。二番手でいくのだ。あるいは、漏れてくるの待っているか。あるいは、ネットにアップされるのを待つ方が合理的なのだ。

     こうして、こういった知的資産の分野は廃れていくのだ。つまり、儲からないのだ。パブリック・ドメインの悲劇だ。

     昔はときどき、売上100万枚という楽曲が何曲もあったが、最近ではそれだけ売れる楽曲ない。私など、U-チューブで聞けるようなって、CDなど買ったことがないのだ。

     ポパーがいうように、物理世界、心理的世界と同様に知性的世界も実在していることに、われわれははやく気付く必要がある。

     本の内容という知性的世界を、紙を通して購入して読むのか、iPadを通して購入して読むのか。このことからも、知性的世界と物理的世界は区別する必要があることは理解できるだろう。

     

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